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いろんなことを知ることで、小説もいとをかし。 [日記]

雨降りの天皇誕生日。

出かける予定もないので、朝から年賀状の宛名書きをして、昼に冷凍のちゃんぽんを食べて、午後はうつらうつらしもって読書に勤しむ。

原田マハさんの「さいはての彼女」(まだ読み終えていないけど)を読んでいて、次のような文章があった。



“旅のいつもの道連れ、リモワの銀色の小型スーツケースをトランクから取り出し、バトラーに連れられて宿泊棟へと歩いていく”



今までだったら何の気なしに読み飛ばしていた一節。

だけど、今年の夏くらいだったろうか、会社の最寄り駅近くのビルに「RIMOWA」と書かれたバッグのショップができた。

アルミ?ジュラルミン?銀色に光るスーツケースがウィンドウに並んでいる。

スーツケースといえば、「サムソナイト」「エース」くらいしか知らない僕には、こんな場所(割と一等地?)で売れるんかな?と心配するほどだった。

とはいえ、小説に登場するくらいなんだろうから、有名なんだろう。(ちなみに私はスーツケースははるか昔にレンタルで一回使ったきりです)

そう、つまり、その現物を知ってからこの文章を読むのと、そうでないのとは大違いということを改めて思い知った次第である。

実は最近、これと同じ思いをしたせいもあって、すごく印象深くなった。


斎藤純さんの「暁のキックスタート」の中に



“彼はシエラカップにウィスキーを注ぎ、口に含むと、おや、という顔をした。ぼくは微笑で応じた。瓶は国産の安ウィスキーのものだが、中身は潮の香りがすると言われているアイラ産のシングルモルトだ”



という文章があった。

これもウィスキーにさほど興味がなければ、ふ~~んと読み飛ばしてしまうところだが、友人に連れられバーに足を運び、アイラモルトの存在を知り、その味わい深さに感嘆した身では、ああ、なるほどそうだよね、とその飲んでいる雰囲気までイメージできるのである。

こういうことは経験しなくても別に何かに不自由があるわけではないが、知っていると想像は横に広がり、そして膨らむ。

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それはすなわち、人生を豊かにするコツなのかもしれないな。

半世紀生きてきても、世の中には知らないことが多すぎる。
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